数年前、社長から「見ておくように」というお言葉とともに渡された一枚のDVD。ディスクには「壇蜜古画(だんみつのいにしえ)」という番組名、『消えた街 雄別』の放送回であった。
かつては良質な石炭の採掘場として繁栄した街「雄別炭鉱」。閉山後の現在は無人と化し、廃虚街となっている。近年、近代化遺産として保存に向けた動きも出てきているという。
また、その一方で北海道ではトップクラスの知名度を誇り、No.1心霊スポットとしてあらゆるオカルト話を生む雄別の廃墟街。いつものようにドローンの点検を済ませ空撮に挑む。
風はあるが許容範囲、何も問題はない・・・はずだった。
いつもなら真っすぐ上昇するドローン、しかし今日は動きがおかしい。斜めに高度を上げ、上空でも姿勢を制御できない。
「降ろします」
ここはあの雄別、という特別な感情が操縦スタッフの迅速な判断を促す。
「離れてください」
高度を下げても左に、右に。機械であるはずのドローンが意思を持ったかのように飛び回る。姿勢を維持して、キャッチ!の瞬間、その鋭いプロペラをむき出しにして操縦者に向かって暴走するドローン。すんでのところでレバーを操作して動きを止め、依然不安定な動きを見せるドローンを強引に掴み取る。
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一瞬の沈黙のあと「膝が・・・震えてます」と絞り出したのは操縦者。
「風ではあんな動きにはならない。」
そう、あの動きはまるで・・・何かに取り憑かれたような。
社長の念願であった雄別の空撮は失敗に終わった。しかし誰も後悔はしていない。皆が無事で家に帰ることができた、それだけで充分である。
というわけで今回は、わずかな時間で撮影した地上360度VRのみお楽しみください。何か写っていても責任は取れませんのでご了承ください。
壇蜜古画(だんみつのいにしえ)「消えた街 雄別」 HTB北海道onデマンド
※無料視聴できます。
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この記事を書いた人/高瀬